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「和梨のヴァイツェン」サンクトガーレンが届ける秋限定ビール

秋の味覚を代表するフルーツ「和梨」が、この秋、ビールとなって登場しました。通常では廃棄されてしまう「傷あり」の和梨を有効活用したビールです。

今回の記事では、お店によっては「お一人様3本まで」などと購入数が限定されるほど人気のあるサンクトガーレン「和梨のヴァイツェン」をご紹介します。ビールと和梨の相性が気になる方や、今まで見たことのないビールに興味をそそられる方は、この記事を読んでその目で確かめてみてください。

そもそもヴァイツェンとは

ヴァイツェンとは、南ドイツのバイエルン州で誕生した、小麦を大量に使った上面発酵のビアスタイルです。一般的なビールの原料には、モルトに大麦麦芽を使用しますが、「ヴァイツェン」とはドイツ語で「小麦」を意味しており、モルトの50%以上に小麦麦芽を使用しています。小麦麦芽を使うことで、泡はきめ細かくやわらかな舌触りを作り出し、ビール自体は白濁しています。さらに、バナナのようなフルーティーな香りと甘い風味が特徴です。

その歴史は長く、16世紀から19世紀のドイツでは、法律によって王侯貴族しかヴァイツェンを製造できませんでした。パンを作るための小麦が足りなくなるほどヴァイツェンが作られたという理由だそうです。ヴァイツェンを最大限に楽しむには、10〜13℃で保存し、専用のくびれのある細長いグラスで飲むことをおすすめします。より色を楽しむことができます。

※ただし、「和梨のヴァイツェン」は「フルーツビール」に分類されるようです。

ブルワリーとしてSDGsに貢献するサンクトガーレン

サンクトガーレンでは和梨を使ったビール以外にも1年を通してさまざまなフルーツを使ったビールを作っています。オレンジやリンゴなどを使ったビールを販売していますが、いずれも今回の和梨と同様に傷ありフルーツを使っています。通常より安く仕入れられる傷ありフルーツを用いることで、ビール作りにたっぷりと使うことができ、フルーツを無駄にしないという観点からSDGsの達成に貢献しています。

サンクトガーレンはエールビールに絞って王道のビアスタイルから個性的なものまで製造しているブルワリーで、その実力は折り紙付き。国内外のコンテストなどの数多くの受賞歴がその技術の高さを物語っています。日本の地ビールの普及に大きく貢献したことにより、業界内では「地ビール0号」という愛称で知られていますが、今なおビールを追求し多様なビールの開発に邁進しているブルワリーです。

なぜ「傷あり」和梨を使うのか

出典:https://www.sanktgallenbrewery.com/pear/

近年、多くの梨農家さんでは「密症」という果肉内の糖分が偏って透明になる現象に悩まされているそうなのです。リンゴでよく見られる現象で味や品質が落ちるわけではないのですが、梨が密症になるとシャキシャキとした食感がなくなるため、そのままでは販売できず廃棄されるとのこと。そこで相談を受けたのが以前から傷ありフルーツでビールを作っているサンクトガーレンでした。

相談に上がった梨は、「豊水」、「幸水」、「菊水」の3種類。豊水は甘くてやさしい酸味があり、果肉はジューシーでシャリシャリとした食感が特徴的です。幸水は甘味が強く、柔らかい食感をしています。菊水はその甘さと果汁の多さから、交配親として用いられ、豊水や幸水も菊水から生まれた品種です。

そんな和梨を廃棄処分にするのはもったいないという思いで、サンクトガーレンが神奈川県小田原市の農家から和梨を買い取り、ビールを作り始めました。ビールに使う梨は、細切れやペースト加工、ジュース加工のものを、製造工程の中で3回に分けて加えられます。そうすることで梨本来の甘さや風味をビールにそのまま閉じ込めることができます。

和梨のヴァイツェンを飲んだ感想。気になる見た目、香り、味は?

実際に飲んでみて特に印象的だったのが、グラスにビールを注いだ時の香りです。芳醇な梨の甘い香りが漂ってきて、まるで梨農園を訪れたような気持ちになりました。ヴァイツェン特有のフルーティーな香りが梨の存在感を強調しています。

グラスに注がれたビールは、ボトルの茶色と対照的な白色がくっきりとわかり、フルーツのみずみずしさが伝わります。香りに意識を集中しているせいか、果物の梨を食べる時よりも芳醇な香りを楽しめます。炭酸は弱く、滑らかな舌触りに心地よさを覚えながらまず一口。香りから想定されるほど甘ったるくなく、上品なほんのりとした梨の風味が口に広がりました。するりと喉の奥を通り抜け、後味はビールよりも梨のフルーティーさが残ります。

ペアリングには、チーズケーキとウインナーを

和梨のヴァイツェンとのペアリングには、チーズケーキとウインナーと用意しました。チーズケーキは色の相性を考え、同じ白い食べ物が合いそうという理由から。発祥地が同じものを合わせるという観点から、ヴァイツェンの発祥地であるドイツ料理のウインナーも用意。

ウインナーを食べた後にこのビールを飲むと、甘さが特に引き立つのを感じました。ウインナーの塩味と旨味がビールの酸味を抑え、梨の風味と甘味の存在感が大きくなります。チーズケーキと一緒に食べると、和梨のほどよい酸味が感じられます。しかし、お互いの甘さがけんかをすることなく、爽やかさとクリーミーさが引き立てあっていました。ちょうどチーズケーキにブルベリーソースをかけて食べるのと同じ感覚。試しにチョコレートとビールも合わせてみましたが、チョコレートの甘みが強すぎて、和梨の酸味が強く感じられたため、チーズケーキのほどよい甘さがちょうど良かったです。気が付いたらグラスもお皿も空になっていました。

オリジナルの飲み方もできそう

今回の記事では、サンクトガーレンの「和梨のヴァイツェン」をご紹介しました。和梨のほんのりとした甘味と爽やかな香りは、ビールが苦手という方でも楽しめそうなので、幅広い層に人気が出そう。購入数が限定されているのも納得だと感じます。個人的には、梨はコンポートなど温かいスイーツに用いられることもあるため、和梨のヴァイツェン自体を温めてホットビールとして飲んでみてもおいしそうだと思いました。また来年の秋に再会したいものです。