カテゴリ:

密にならないフェスがある。「ジャパニーズラガーフェス 2021」

2021.09.28

音楽フェス、食フェス、アートフェス。気候の良くなる初夏を皮切りに、開放感たっぷりの夏、過ごしやすくなる秋にかけて、日本ではさまざまなフェスが開かれていました。しかし今年も新型コロナウイルスの感染拡大で、多くのフェスが中止になったり、入場者数を大きく減らして実施したりするなど、さまざまなかたちで影響を受けています。そんな折、全国で多くの人が参加でき、しかも密にならないクラフトビールのフェスがありました。それが「ジャパニーズラガーフェス  2021」です。

「ジャパニーズラガーフェス  2021」とは

このフェスは、飲食市場に特化したマーケティング支援を行う株式会社favyによる、「ラガービール」にテーマを絞った珍しいイベント。7月1日から開催されており、9月末までの予定でしたが、好評のため12月31日まで延長されることになりました。

具体的には、全国のブルワリーがそれぞれ独自のラガービールを開発し、実際の店舗とオンラインで販売して、多くの人に楽しんでもらおうという試みです。実店舗とオンラインを組み合わせることで、全国のブルワリーとビール好きが参加できるようになりました。つまり、フェスと言っても大人数が1か所に集まるわけではないので、密にはなりません。実際にブルワリーを訪ねて飲むのもよし、まずはオンラインで注文するのもよし。参加者一人ひとりが好きなかたちで、ラガービールを味わえるイベントです。

改めて言うまでもありませんが、新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食業界は大きな打撃を受けています。もちろんクラフトビールのブルワリーも例外ではありません。そんな状況で何とかブルワリーを応援できないか?という思いがきっかけで発案されたのがこのイベントです。また、クラフトビールといえばエールビールというイメージが強い中、「全国のブルワリーが本気でラガービールを作ったらどんなものができるのか?」「ジャーマンピルスナーやアメリカンIPAのように、名前に“JAPAN”の入ったビアスタイルを作れないか?」という期待も込められています。

そもそもラガービールとは

ラガービールとは、ラガー酵母を用いて作られるビールです。タンクで発酵させる際の温度が5〜10℃と低く、発酵が進むとタンクの下面に溜まります。このため下面発酵ビールとも呼ばれます。“ラガー”とはドイツ語の“貯蔵”に由来し、その名の通り貯蔵しながら発酵させる(後発酵といいます)期間も長くなります。

ラガービールのビアスタイルとして、ピルスナー、ボック、シュバルツなどがありますが、世界で最も飲まれているのがピルスナーです。日本でも大手ビール会社のビールはほとんどがピルスナーです。軽いのどごしとすっきりとした苦味、爽快感が特長のこのビアスタイルは、高温多湿の日本で広く受け入れられました。

一方、あまりにもピルスナーが広まったため、「ビール=ピルスナーのこと」と理解している人もいまだに多くいます。その反動もあってか、クラフトビールのブルワリーでは、ピルスナーをはじめとしたラガービールはあまり作られてきませんでした。

注目のビアスタイル、「Cold IPA」のビールも

実際に、今回のフェスに参加している銘柄もほとんどがピルスナーです。そんな中「Cold IPA」というビアスタイルで参加しているブルワリーもありました。

Cold IPAとは、ヘイジーIPA(関連記事)の次に世界的なトレンドになりつつあるビアスタイルです。その名前からしてこれはエール、つまり上面発酵では?という疑問を持つ方もいるでしょう。しかし、これもれっきとしたラガービールです。なぜなら、使っているのはラガー酵母だから。通常は低温で発酵させるラガー酵母を、エール酵母と同じぐらいのやや高めの温度で発酵させています。日本ではまだまだ少ないCold IPAですが、少しずつ取り組むブルワリーが増えているようです。

そんなCold IPAを引っさげて参加している、チャレンジ精神にあふれるブルワリーはこちらの2つ。奇しくもどちらの商品名も「Cold IPA」という、そのものズバリ、直球勝負の名前です。両方を注文して飲み比べたり、お近くの方は、ひと足早く最新のトレンドスタイルをブルワリーで味わってみてはいかがでしょうか。

DD4D BREWING(愛媛県松山市)

出典:https://www.favy.jp/topics/32060

うなぎの蒲焼やクリームブリュレに合うそう。かなり濃厚な味わいと予想。

AMAKUSA SONAR BEER(熊本県天草市)

出典:https://www.favy.jp/topics/32012

ブルワーの間で注目の新種のホップ「Talus」を、シングルホップで使用。

以前、ビアジャニではブルワリーにお邪魔しました。こちらの記事もぜひお読みください。

「天草ソナービール」を飲んで、天草を旅しよう(前編)天草の魅力が詰まったクラフトビールができました

「天草ソナービール」を飲んで、天草を旅しよう(後編) 天草・島原の世界遺産を巡る旅へ

飲み比べのリアルイベントも開催予定

イベント期間中は、「飲んで応援キャンペーン」を実施。対象店舗に行ってビールを飲むと、毎月抽選で20名に5,000円相当のブルワリーのグッズや1,000円分のビールクーポンが当たります。

さらに、東京都の緊急事態宣言の解除後、お酒の提供が解禁になったタイミングで、ジャパニーズラガーの飲み比べイベントの開催が予定されています。1軒1軒ブルワリーを訪ねるのもいいですが、ビール好きはやはりいろいろなビールをいっぺんに味わって飲み比べたいもの。ラガービールだけに限定した飲み比べイベントはそうそうありません。詳細は後日発表とのことなので、続報を待ちましょう。

この中から日本を代表するラガーが出てくるかも?

当然ですが、フェスとはそもそも人がたくさん集まるもの。コロナ禍の影響を受けないはずがありません。しかし、この「ジャパニーズラガーフェス  2021」はテーマを絞り、実店舗とオンラインをうまく組み合わせて、なるべく影響を受けないかたちにしています。大勢のファンが1か所に集まって行われるフェスの、あのすさまじい一体感や熱狂。このイベントはそんな熱量には欠けるかもしれませんが、クラフトビールファンの人気をじわじわ集めています。今後はさらに参加ブルワリーも増えるそうです。

このフェスのために作ったブランドが、数年後、日本を代表するジャパニーズラガーになっていたら面白い。思わずそんな想像をしてしまう、意欲的なイベントです。

・公式サイト:https://subsc.favy.jp/cp/japanese_lager_festival_2021